会長挨拶
第39回日本脳死・脳蘇生学会 総会・学術集会
会長 若杉 雅浩(富山県立中央病院 救命救急センター)
このたび、第39回日本脳死・脳蘇生学会 総会・学術集会を、2027年6月27日(日)に富山県民会館において開催させていただくこととなりました。歴史ある本学会の会長を拝命し、大変光栄に存じますとともに、その責任の重さに身の引き締まる思いです。
本学術集会のテーマは、「ナラティブとエビデンスの狭間で脳死を考える」といたしました。脳死・脳蘇生医療は、神経救急や集中治療医学の発展とともに大きく進歩してきました。脳保護療法や神経集中治療、蘇生後ケア、臓器提供・移植医療などの分野では、多くの科学的根拠が蓄積され、診療の質は着実に向上しています。一方で、脳死という概念は科学的・医学的観点だけで完結するものではありません。患者やご家族の人生観や価値観、社会や文化、法制度、倫理など、多くの要素が複雑に関わる医療でもあります。私たち医療者には、エビデンスに基づいた最善の医療を提供する責務があります。しかしその一方で、患者やご家族が歩んできた人生や、それぞれが抱える思いに耳を傾け、対話を重ねながら医療を実践することもまた重要です。数値やガイドラインだけでは語り尽くせない現場の経験や葛藤、意思決定の積み重ねこそが、脳死をとりまく医療の本質を形づくっているのではないでしょうか。
本学術集会では、脳蘇生、神経集中治療、臓器提供・移植医療にかかわる医師、看護師、検査技師、ソーシャルワーカー、コーディネーターはじめ法学、倫理学、宗教学など、多様な分野の専門家が一堂に会し、それぞれの視点から活発な議論を深めていただきたいと考えています。また、学術集会前日6月26日(土)には各種の教育セミナーの開催を予定しています。若手医療者や多職種の皆様にも積極的にご参加いただき、世代や職種を越えた交流を通じて、未来の脳死・脳蘇生医療をともに学び、考える機会となることを期待しております。
開催地である富山県は、雄大な立山連峰と美しい富山湾に抱かれた自然豊かな地域であり、「くすりのまち」として長い歴史を有しています。全国各地からお越しいただく皆様には、学術的な交流はもちろん、富山ならではの自然、食、文化にも触れていただき、充実した二日間をお過ごしいただければ幸いです。
皆様のご参加ならびに多数の演題のご応募を、心よりお待ち申し上げます。