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2007年に発足した日本ゲノム微生物学会は、2026年、20回目の年会を迎えます。この20年、微生物ゲノム研究を取り巻く状況は大きく変化しました。ゲノム解析がホントの意味での微生物研究の基盤となった今、本学会の意義は!?本大会ではサイエンスは勿論、この学会の、そして日本における微生物研究の今後を考えます。皆様の一言!お待ちしています。
学会発足の2007年を振り返ってみましょう。当時、次世代シーケンサーの発売(2005年)を受け、サンガーシーケンサーを用いた大規模組織でのゲノム解析が幕を下ろしつつありました。即ち、次世代シーケンサーへアクセス出来れば、個々の研究者が微生物ゲノムを取得出来るようになりつつあった時代です。とはいえ、ゲノム解析は依然として先端的であり、情報解析をはじめとするゲノム解析手法やゲノム情報を基盤とした最新研究成果を共有し、そして、研究者・一般社会へ発信するゲノム微生物学会の発足は極めてタイムリーなものでした。さて、現在はどうでしょう?1細胞ゲノム解析や複雑なChIP解析、Hi-Cなど、より高度な解析技術が続々と開発され、これまで見過ごされてきた小さな遺伝子や機能性RNAの機能など、微生物ゲノム機能の再発見が進み、シーケンサーの技術革新も進んでいます。一方、ゲノム情報の取得自体は更に容易になり、微生物分類・命名においても、当該微生物株は勿論、近縁種や単離源の(メタ)ゲノム解析・比較ゲノム解析が求められるに至るなど、ゲノム解析は微生物研究の基礎となりました。本学会設立当初の意義の多くは、現実が越えてしまいました。また、当時はモデル微生物とその他の微生物という何となくの境がありましたが、比較ゲノム研究の進展や(微)生物間相互作用等への注目を受け、そのような境も消えつつあります。学会の意義を改めて築くのか、あるいは??本年会が、当学会の、そして日本における微生物研究の今後を考える機会となれば幸いです。
第20回 日本ゲノム微生物学会 年会長
布浦 拓郎
(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)