Greeting

泉 英之
第22回国際外傷歯学会世界大会 大会長
滋賀県開業 (日本)

2020年9月26日、外傷歯学の父 Dr. Jens Ove Andreasenが他界しました。

彼が外傷歯学の発展に寄与した功績はあまりにも大きく、彼の存在なくしては、外傷歯学は成立しなかったとさえ言えます。歯の外傷は、発現頻度の高さ(学童期の5人に1人の罹患率)に比して大学の歯科教育の中で今でも置き去りにされている感が拭えません。年々歯への国民の関心が高まりつつあり、歯科医師との協力のもとに地域社会で齲蝕や歯周病の予防が着実に実行されている一方で、外傷歯ははたして適切に処置されているでしょうか?

歯の外傷は、学童期に発現頻度のピークを示すことからもわかるように、若年者に多く見られます。また、歯牙硬組織、歯髄、歯根膜、骨、歯肉、といった組織の一部または全部を巻き込んだ急性の疾患であり、ゆえに歯科全般にわたる知識と技術が要求されます。そして、若年者ゆえの生体の治癒力の高さや、基本的に感染性の疾患とは異なる点などが、歯牙硬組織、歯髄、歯根膜、歯槽骨などに対して、より保存的、生物学的許容性の高い治療法の選択をもたらしてくれます。

今回の大会は、Dr. Jens Ove Andreasen没後最初の国際外傷歯学会です。彼の遺した「外傷歯学」と「志」を守り後世へ伝える重要な学会と位置付けています。彼の願いは、歯の外傷を被った子供の未来を守ることです。

「子供の未来を守る」をテーマに、日本・世界の皆様と共に楽しく学べることを楽しみにしております。


第22回国際外傷歯学会世界大会 大会長
泉 英之

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