ご挨拶

 2024年1月27日(土)第40回の節目の日本肺および心肺移植研究会を、開設60年を迎える藤田学園 藤田医科大学で開催させていただくことを大変光栄に存じます。会期が近づきましたら新型コロナウイルス感染蔓延を含む社会状況により改めて判断させていただきますが、現時点では4年ぶりの現地開催を目指し準備中です。本学がございます愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪(でんがくがくぼ)は、若き日の織田信長が駿府をたって武力上洛する途上の今川義元を討ち取った桶狭間の戦いの最重要地、田楽間(でんがくはざま)の跡地として有名ですが、名古屋駅からのアクセスがあまり良好ではないため、最寄の名鉄前後駅から朝夕直通貸切バスを運行する予定です。

 研究会は、例年通り朝から夕方まで1日集中して1会場でのセッション(+ライブ配信)を予定し、特別講演では、肺移植後の最も重要な感染症の1つである非結核性抗酸菌症について、この領域の第一人者でいらっしゃる国立病院機構 東京病院呼吸器センター 佐々木結花先生に、肺アスペルギルス症について、同じく東京病院呼吸器センター 鈴木純子先生と琉球大学医学部第一内科 宮城一也先生にご講演いただきます。また、ランチョンセミナーでは、2023年7月20日に発行された臓器移植抗体陽性診療ガイドライン2023 の肺移植領域の取りまとめ責任者でいらっしゃる名古屋大学の芳川豊史先生にガイドラインの概説をお願いいたしました。肺移植診療、基礎研究、移植システムをはじめ、コーディネーターさんや、理学療法士、管理栄養士の先生によるセッションなども企画したいと考えております。

 日本の移植医療の変化・発展はすさまじく、2012年1年間で45件あった脳死下臓器提供数は、10年後の2022年は93件に、脳死肺移植は33件から94件に増加しました。2023年は6月までの半年で提供71、脳死肺移植62と、より多くの待機患者さんが肺移植を受けることができる状況となりました。一方で、昨今の重要なテーマの働き方改革に全く逆行するかのようにハイボリュームセンターの負担増は極めて大きく、手術室やICUの受け入れが追いつかない事例が報告されたり、日本臓器移植ネットワークの斡旋業務にかかる過剰負荷が問題となったりしています。

 本研究会は、現在の肺移植の状況と課題を1日徹底的にface to faceで討議・共有し、同時に将来展望・夢を語り合うような充実した場にしたいと切に願っております。どうか皆様の積極的な演題応募とご参加をお願い申し上げます。

 最後に本研究会のポスターとホームページバナーを紹介させてください。これらは、東北大学で肺移植をお受けになり元気にしていらっしゃるデザイナーの吉森由之助さんにデザインしていただきました。字体は「游ゴシック」というユニバーサルデザインフォントの一種で、タイトルのデザインはそのフォントをさらに袋文字にして手書き線のような揺らぎ処理を加えたそうです。ご覧いただければ幸いです。



第40回日本肺および心肺移植研究会 会長
藤田医科大学医学部呼吸器外科学 主任教授
星川 康
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