第31回日本小児突然死予防医学会開催後記
東京都立多摩北部医療センター小児科
小保内 俊雅
2月7~8日の2日間、第31回日本小児突然死予防医学会学術集会を、東京・お茶の水にある東京都医師会館にて開催いたしました。東京ではめずらしく積雪があり、交通機関にも乱れが生じるなど、困難な状況下ではございましたが、多くの方にご来場いただき有意義な議論が展開できましたこと、心より御礼申し上げます。
本会は「未来に繋ごう小さな命の灯を」を主題に据え開催しました。突然亡くなってしまった乳幼児は、何故、どのような機序で亡くなってしまったのかを明らかにできない症例が少なくありません。原因不明のままとしてしまっては、未来に向けての予防法や治療法を確立することが困難です。「失われてしまった命」で終わらせるのではなく、そこから我々が学び取ったものを、未来に繋いでいくことができるようにすることが大切です。その為には、診断のあり方を考え直す必要があります。診断には医学的な課題だけではなく、保護者の協力など多様な要素が関与しています。それらを含め網羅的に診断環境改善に向けて、乳幼児突然死対応の手引きに関する課題を皆さんで討論していただきました。
今回の学術集会では、保育安全に関する課題も議論することが出来ました。
学術集会では、SIDSを一疾患単位として捉えるか、窒息であるかの議論に多くの時間を費やしてきました。議論には病理写真や現場写真の提示もあるため、参加者は医師に限定されてきましたが、今回は初の試みとして保育関係者の方にも参加いただき、多職種でこどもの安全を議論する場を設けることが出来ました。医師が知らぬ間に築いてしまう壁を、学術集会の場で議論することで「こどもの未来を守る」という共通の目的のために取り払うことできたと感じます。これは学会のこれからの姿を暗示しています。Child Death Reviewが社会実装される前に、学会で実現することが出来たと言ってよいのではないでしょうか。
また、皆様のお力で新たな扉を切り拓くことができたと実感しています。この流れを未来に繋げ、同じ悲しみをする子供たちを少しでも減らすことに邁進する決意を新たにする機会となりました。子どもたちの命を守り、未来へと繋がることを心より願っております。
最後に、ご寄付や展示などご支援いただいた多くの方々、準備に尽力いただいた事務局の皆様、そして会期中にボランティアスタッフとしてご活躍いただいた方々に、改めて厚く御礼申し上げます。