私達は言葉を使って様々なことを伝える。例えば、「蜂だ」と言う。その個体を目にするのは初めてにもかかわらず、それを「蜂」と表現し、それを聞いた人の多くはその物体を避けようとするだろう。「蜂」は特定の特徴を持つ昆虫のグループを指す言葉だが、伝える人と聞く人双方が、蜂という概念(本質=共通する特徴を捉えた考え)をもっているので情報を共有し「避ける」という次の行為につながる。
「概念」と聞くと難解に思われがちだが、それは私たちの中に形成されており、それを使って世界を理解している。それでもまだ目にみえるものは、共通に理解しやすい。看護は行為であるので、逐一その動作を説明したとしてもその行為の本質が伝わるわけではない。例えば、患者さんの口が汚れていたら、看護師は除去しようとするかもしれない。しかし、もしセルフケアという概念を知っていたら、その人が自分自身で口腔清掃ができるように働きかけていくだろう。このように概念を知ることにより、ケアの質は格段に向上する。
今回の研究会では、私たちが物事を考えるときの基本単位である「概念」と向き合う。
Kathleen A. Knafl先生は、進化的概念分析を提唱したRodgers先生の「Concept Development in Nursing(看護における概念開発)」の共著者である。概念分析や概念開発がご自身の研究の発展にどのような役割を果たしているかお話いただく。それを受け、先生らの本を翻訳した関西医科大学の山下裕紀先生に講演を企画いただいている。ランチョンセミナーでは概念分析の方法と役割について再考する。この機会に概念に触れてみたいと思った方、概念に興味がある方、あるいはよく理解できないという方も学びを深める絶好の機会となるだろう。
前回同様に理論を「つくる・つかう・つたえる」というテーマは変わらないので、多様なご発表、ご参加を心待ちにしている。
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