公開講座
『おうちで血液透析ができる時代がやってきた!
~生体医工学と医療とのかかわり~』
開催概要
日時:2025年6月7日(土)15:00~17:00
会場:フェニックス・プラザ
〒910-0018 福井県福井市田原1丁目13番6号 http://www2.fctv.ne.jp/~phoenix/
会場・アクセスのご案内 https://smartconf.jp/content/jsmbe64/venue
参加費:無料
参加方法:
以下のフォームから、事前参加登録(無料)を行ってください。
当日参加も可能ですが、可能な限り、前日までに参加登録をお願いします。
わかりやすい内容ですので、一般の方もお気軽にご参加下さい。
なお、同時開催の「第64回日本生体医工学会大会」にはご参加いただけませんのでご注意ください。
プログラム
司会:古薗 勉(近畿大学 生物理工学部)
木村 裕一(近畿大学 情報学部)
在宅血液透析の現状とこれから 〜医師の立場から〜
演者:一色 啓二(富田クリニック(本院))
在宅血液透析とのかかわり 〜臨床工学技士として・患者として〜
演者:中澤 弘貴(医療法人社団 富田クリニック(本院))
患者さんに在宅腎代替療法を正しく知ってもらうには~患者支援団体の活動~
演者:雁瀬 美佐(NPO法人腎臓サポート協会)
在宅血液透析を始めるにあたって ~医療機器メーカーの視点から~
演者:安倍 佳亮(ニプロ株式会社)
在宅透析の安心・安全を支える最先端技術-ミリ波レーダーとAIによる挑戦-
演者:永岡 隆(近畿大学生物理工学部)
質疑応答
公開講座の概略
末期腎臓病に対する治療法としての腎代替療法には、大まかに分けて血液透析、腹膜透析、および腎移植があります。
そのなかでも、在宅で施行可能な治療法は、腹膜透析、腎移植、そして在宅血液透析(血液透析の一つの治療法)です。この公開講座のテーマである在宅血液透析とは、透析装置や水処理装置などを患者宅に持ち込んで、家族などを介助者として血液透析を行う治療形態です。一般的に、週3回4時間の治療が行われる施設透析とは異なり、在宅血液透析では、自宅で、夜間寝ながらでも、また毎日でも治療が可能です。透析回数や透析時間を増やすことにより、体調がよくなり、合併症がおきにくくなる場合があります。特に、患者さんの都合によって時間を固定せずに治療が可能となりますので、働いているの透析患者にとってより相応しい治療法です。
しかし、国内での在宅血液透析の普及は、未だ途上にあります。現状において、慢性透析患者の治療では依然として血液透析が97%[うち在宅血液透析 0.2%(わずか、827人)]、および腹膜透析が3%の割合です。
また、腎移植はコロナ禍の影響から回復傾向にあるものの1,782症例に留まっています。
2022年の米国腎臓データシステムの集計によりますと、わが国の腎代替療法の分布は施設血液透析が95%、腹膜透析3%、腎移植2%、および在宅血液透析0%と報告されています。一方で、米国における腎代替療法の分布では、施設血液透析が60%、腹膜透析8%、腎移植31%、そして在宅血液透析2%であり、わが国に比べると治療法のバランスがとれています。この状況の背景は、日米の医療制度の違いです。
日本透析医会が策定した「在宅血液透析管理マニュアル」では、患者本人による自己穿刺を前提としており、医師・看護師・臨床工学技士の医療資格を持たない介助者(家族)による穿刺代行は認められていません。介助者の存在はわが国では必須ですが、米国では特定の在宅血液透析専用装置を使用した場合、介助者を必要としない在宅血液透析 (寝ながらの治療を除く)が認められています(「ソロHHD」といいます)。
しかし、残念ながらわが国では、各透析メーカは高い技術を持ち合わせながらも、在宅血液透析の患者数がかなり少ないことから、専用装置はありません。以上のことから、わが国における在宅血液透析を取り巻く治療環境や周辺装置などの技術開発は未だ発展途上の段階にあることになります。
このような現状と日本生体医工学会の取り組みを広く知っていただくために、この学会の下にある在宅人工臓器治療研究会が主体となり、この公開講座を開催いたします。
在宅人工臓器治療研究会では、在宅血液透析治療中の患者の安全性向上を目指し、日本在宅血液透析学会や企業と一体となって、治療中における血圧低下を主因とする異常事態を非接触で事前予測するシステムの開発に精力的に取り組んでいますので、その成果もご紹介いたします。
公開講座についての問い合わせ:E-mail:jsmbe@pcojapan.jp